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2018.04.06

胆嚢の病気

2018.04.06

胆嚢の病気

こんにちは

院長の伊藤です。

 

最近ブログの更新ができていなかったため、

ガンガン書いて行きます!

 

本日は胆嚢の病気について書いて行きます!

胆嚢の病気は高齢のワンちゃんにとても多く緊急疾患になることもよくあります。

 

まずは、胆嚢って何だろう?何のためにあるのだろう?

胆嚢とは肝臓の中央部に消化に必要なものや肝臓から体に必要のないものをためておく袋です。

胆嚢は腸と繋がっており腸に食べ物が通るたびに動いて中にある液体を腸に出していきます。

腸はその液体を利用して食べ物を消化していきます。

胆嚢の中は本来液体状なのですが、食餌や胆嚢の異常により胆嚢内がゼリーのような塊になることがあります。

この状態を胆嚢粘液嚢腫といい、最終的には胆嚢が破れてしまう事もあります。

(超音波で胆嚢を確認します)

(胆嚢粘液嚢腫)

(正常)

 

では、当院に胆嚢疾患で来院された二人のワンちゃんをご紹介します。

胆嚢が破裂(袋が破れて)して具合が悪くなったプリンちゃん。

プリンちゃんは糖尿病も持っていますが、胆嚢の病気になるまでは非常に元気に散歩していました。

散歩中に突然具合が悪くなりあまり動けなくなりました。

超音波検査で胆嚢の出口がふさがり、胆嚢、胆管、肝臓などに炎症が波及している状態であることがわかり、さらに腹水までたまるかなり危ない状態でした。

まずは点滴で全身状態の安定化を図りましたが、そのままにしておいてもよくなることはないのですが、このような状態になってしまうと助かる可能性はかなり低くなります。

ご家族に説明し、もうプリンちゃんと会えるのは最後になるかもしれないと悲しんでおられました。

 

良くしてお返しする!強い気持ちを持って手術を行い胆嚢を摘出しました。

本当なら亡くなってしまってもおかしくない状態でしたが、手術3日目には元気に走り始めました!

当院最強のワンちゃん(実は1年前には尿道に石が詰まりその時も命が危ない状態でした)術後の傷の治りも心配しましたがすぐに皮膚もつきました。

糖尿病という基礎疾患があるため麻酔は非常に重要です。

術中は様々な薬剤を使い、痛みやストレスをできるだけ抑え術後の回復を助けるように細心の気を使います。

 

私はいつも準備と術後のケアは手術と同じくらい大事だと思っています。

 

今回元気になってご家族もホッとされていました。

 

 

もう一人はリンちゃん。

 

健康診断で胆嚢の中に浮遊物(胆泥)が溜まっている状態であることが分かりました。(実は高齢のワンちゃんで胆泥貯留の子はとても多いです!)

 

現在胆嚢に関しては研究段階で明確な方向が決まってはいないので、先生によって見解は異なります。

胆泥があることによって胆嚢の病気になる子もいればそのまま生涯を終えるワンちゃんもいます。

先生によっては、胆泥が溜まっているのは胆嚢が異常だから胆嚢を摘出した方が良いとおっしゃる先生もいます。

その子にあった治療をしていくにはしっかりと経過を観察し、胆泥が溜まってきていないかを確認していく事は重要だと思います。

 

胆泥が溜まったワンちゃんにはお薬やフードを変えることによって、胆泥が少なくなったり中には完全に消えてしまうワンちゃんもいます。

胆泥疾患には胆泥の排泄を促すお薬の組み合わせがあります。

リンちゃんは内服を飲み続け2ヶ月後

角度を少し変えて

内服により完全に消えました!

こんな治療法もあります!

(嘘は書きたくないので、正直内科的に治療しても大きく変わらない子もいます。)

 

もちろん、動物医療の現場では、未知な部分も多いため治療をしても上手くいかないこともありますし、治療法によってはすぐに手術した方が良い場面や手術自体が苦しめてしまう場合もあるため、そこはその子その子の状態を見つつ判断していきます。

 

 

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