ポメラニアンは小型で飼育がしやすい反面、気をつけるべき病気もあるので、飼い主が普段から気をつけてあげる必要があります。
今回はポメラニアンのかかりやすい病気を症状や治療法とあわせてご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
流涙症は涙が常に目からあふれてしまう病気です。特にポメラニアンはこの流涙症に発症しやすいといわれています。
流涙症の原因として、涙の出口や通り道が詰まってしまうことがあげられます。
出口や通り道が詰まることにより、涙は行き場を失ってしまい結果、目からあふれてしまうのです。
もう一つの原因として、涙が必要以上に作られていることです。
目がゴミなどによって刺激を受けると涙が作られ、また毛が長い場合にも、その毛が目にかかって涙が作られます。
このように、涙が必要以上に作られると流涙症に発症する可能性が高いのです。
流涙症を発症してしまうと、目から涙があふれ続けてしまいます。
目の周りの毛は常に涙で濡れている状態になるので、「涙やけ」を起こしてしまいます。
また常に涙で濡れている状態ですと、細菌が繁殖してしまい、皮膚炎などの病気を併発する可能性があります。
流涙症の治療法として、涙があふれる原因の除去を行います。
毛が長いために目を刺激している場合には、毛をカットしてあげます。
また涙の出口や通り道が詰まっているのであれば、鼻涙管(びるいかん)に針を差し込み、生理食塩水を注入して洗浄を行います。
なお、鼻涙管が完全に閉じている場合には、手術によって開ける治療が必要です。
流涙症における根本的な予防法はありません。
できることは、常日頃から涙を定期的に拭き取ってあげることです。
定期的に拭き取ってあげることにより、涙やけはある程度抑えることができますし、細菌の繁殖による皮膚炎のリスクも減らすことができるでしょう。
また、洗眼液を使用し常に眼を清潔な状態にすることも重要です。
気管虚脱とは、従来ホースのような形状をしている気管が、その形状を維持できなくなってしまい、潰れてしまう病気です。
気管虚脱は呼吸困難や、激しい咳をおこし、悪化すると命にかかわる恐ろしい病気です。
残念ながら詳しい原因はわかっていませんが、夏場に発症しやく、先天性といった特徴があります。
気管虚脱の症状は、気管が潰れてしまうことによる呼吸困難・運動中や興奮状態には乾いた咳などが見られます。
その他には、よだれを垂らす・呼吸困難にともなうチアノーゼ(口内が青紫になる)といった症状があらわれます。
気管虚脱の治療は、金属製のメッシュ筒を気管に入れることで、気管を広げる作業を行います。
なお、咳止めや抗炎症薬を投与する場合もありますが、投薬では潰れてしまった気管を戻すことは不可能です。
こちらは症状をやわらげるために使います。
気管虚脱の症状は、夏場やポメラニアンが興奮状態の時に多く発症します。
そのため夏場の暑さに関しては、室内は出来る限りエアコンなどで温度を調整してあげましょう。
興奮状態は、飼い主の躾(しつけ)次第といっても過言ではありません。
常日頃から、興奮状態にさせないように躾をしっかり行って下さい。
また咳をさせないことも重要になります。
咳の発生や増加は気管虚脱の症状を悪化させます。
咳を止めるためのお薬を使用し咳を止めることで気管虚脱の悪化を予防します。
アロペシアXは、脱毛を主とした病気で、別名ポメラニアン脱毛症・成長ホルモン不全症などと呼ばれています。
1歳から4歳頃の若犬に多く発症することが多く、脳下垂体前葉ホルモンの分泌が上手く行われないことが原因です。
胴体および尻尾の毛が少しずつ脱毛し、最終的にはほぼ毛がなくなるほどに抜けてしまいます。
そして脱毛の際、かゆみをともなわないことが特徴でもあります。
治療法は、毛周期を整える薬を使用した投薬治療です。
しかし現在、有効な治療法がなく、再発する確率も高いため断続的な治療を求められます。
予防法は特になく、上記の症状が出たら早めに病院に連れていきましょう。
水頭症とは、神経疾患の部類に入る病気です。
脳内を循環している脳脊髄液が異常に増えることで、脳内や周りにある神経を圧迫してしまい、さまざまな症状が引き起こされます。
また水頭症は、先天性、後天性どちらも発症しますが、ほとんどが先天性によるものといわれています。
水頭症に発症すると、以下の症状があらわれます。
・以前よりも動きがゆっくりとなり、元気がなくなった
・頭が大きくなる
・睡眠時間が長くなった
・以前よりも攻撃的になった
・食べ過ぎまたは食欲不振になる
・歩き方がおかしい
・よく転んだり、うまく立ち上がれなかったりする
・認知症のような症状が出る(徘徊など)
以上のすべての症状が出るわけではありませんが、いくつかの症状が同時に出るケースが多いのです。
なお水頭症を発症した多くの犬は、元気がなくなる・睡眠時間が長くなった、などの症状が特に多いといわれています。
水頭症の治療法は、内科治療と外科治療の2つに分けられます。
内科治療は、主にステロイド剤や利尿剤によって脳髄液を減少させ、頭蓋内圧を下げるといったことが行われます。
一方、外科治療は内科治療で症状の回復が見込めない場合や、長期にわたる投薬を避けたい時に行われます。
脳内に溜まった脳髄液を、ドレーンと呼ばれる特殊なチューブを使って抜き、抜いた脳髄液をおなかに循環させる治療です。
この手術は「脳室腹腔シャント」と呼ばれています。
ただし、シャントを一旦使用した場合、一生外すことが不可能となります。
また、シャントが詰まってしまい再び水頭症の症状が出てしまうこともあります。
したがって治療法は、獣医とよく相談したうえで決めるべきでしょう。
水頭症の予防は困難です。
そのため、先述した症状が見られる場合は、すぐ病院に連れていってあげましょう。
早期発見・早期治療がカギといえそうです。
膝関節にある、膝のお皿の骨が脱臼してしまう病気で、別名「パテラ」とも呼ばれています。
特にポメラニアンは、生まれつき骨が弱くまた、膝関節の組織に異常がある場合が多いので、膝蓋骨脱臼を発症しやすいといわれているのです。
また先天性・後天性どちらの原因にも当てはまる病気ですが、9割ほどが先天性による発症です。
膝蓋骨脱臼の症状として、発症初期の段階では、症状が見られないケースが多く、気付きません。
悪化してくると、足を浮かせて歩く・痛みで足をかばうように引きずって歩くといった症状が見られるようになります。
放置しておいた場合、最終的には歩行すら困難となってしまうのです。
膝蓋骨脱臼は自然に治ることはありません。
外科手術により治療を行いますが、症状が重度の場合、外科手術ができない場合もあるのです。
そのため早期の外科手術によって、膝蓋骨を正常な位置に戻す治療が必要となります。
また、膝蓋骨脱臼から二次的に発症する、変形性関節症などが起きてしまっている場合、痛みを抑えるための内科療法が行われることもあるのです。
先述した通りポメラニアンは、生まれつき骨や膝関節の組織が弱いといった特徴があります。
したがって予防法は、ポメラニアンの骨や膝にかかる負担を、出来る限り減らすように心がけることです。
フローリングは硬くてすべりやすいため、膝に負担がかかりますので、じゅうたんやマットを敷いて膝への衝撃をやわらげましょう。
また階段をよく昇降しているのであれば、階段にもじゅうたんやマットを置いて下さい。
なお、ポメラニアンが高い所から飛び降りることのないよう、飼い主がしっかり見ておくことも重要です。
また、体重の過度な増加も症状を悪化させるため、常に体重は増えすぎないようコントロールしましょう。
ポメラニアンは身体的な特徴から、かかりやすい病気が決まっています。
その多くは、飼い主の心がけ次第で症状を事前に防ぎ、改善できる余地があるケースが多いのです。
愛犬がいつまでも元気で暮らせるよう、しっかりと気を配ってあげましょう。