トイプードルなど、小型の犬種には、「かかりやすい病気」というものがあります。
その中に、場合によっては命に関わる病気もあるのです。
今回はトイプードルに視点をあてて、かかりやすい病気を症状と対策をあわせて説明します。
後ろ足の膝蓋骨(膝のおさらの骨)が、正常な位置からずれたり外れたりしてしまう病気です。
トイプードル含め、小型犬がよく発症します。
膝蓋骨脱臼は、生まれつき骨の形成に異常がある先天性、ケガなどがきっかけで骨が変形する後天性の2タイプあります。
主な症状として、脱臼している足をかばうように歩く(3本足で)、後ろ足を引きずって歩く、足をさわると痛がって鳴くなどがあります。
投薬もしくは手術です。度合いによって必要な治療法は変わってくるので、動物病院に相談することが望ましいです。
予防法としては、足に負担をかけないことを最優先にしてください。
階段の昇降や、高い場所からのジャンプなどはできる限りさせないように心がけましょう。
涙やけとは、涙が多く流れることによって、目の周りの毛にバクテリアが繁殖してしまう病気です。
添加物の多い食事、水分不足、花粉症、器官的な障害など、様々な原因が考えられます。
涙が異常に分泌され、目の周りがいつも濡れた状態になります。
そのまま放置すると目の周りの毛が赤茶色に変色したり、ひどい場合皮膚炎になってしまうこともあります。
多くの場合、食生活の改善か水分を多く摂らせることで改善することができますが、先述の通り、原因が多岐にわたる病気です。
またトイプードルは涙やけだけではなく、他の目の病気にかかりやすい犬種でもあります。
そのため、他の目の病気もあわせて早期発見を目的とした、定期検診を受けさせてあげるのがベストでしょう。
耳の中で細菌が繁殖することにより、炎症を起こしてしまう病気です。
トイプードルは耳が垂れているため蒸れやすく、外耳炎にかかりやすい犬種といえるでしょう。
外耳炎に見られる症状は、しきりに耳をかく、かゆがって頭を振る、耳の中から臭いを発しているなどがあげられます。
予防法は、定期的な耳の掃除をしてあげること・犬が横になっている(寝ている時)時に、
耳を持ち上げて、耳の中を通気してあげる、以上の2点です。
耳の掃除が難しい場合、トリミングまたは病院にいった際にやってもらいましょう。
気管が押しつぶれされてしまうことで空気の流れが悪化し、呼吸困難におちいってしまう病気です。
原因として、気管を覆っている軟骨が本来の形状を保てないことで、空気の通り道が狭くなることがあげられます。
また肥満や高齢により、気管周辺の筋肉がおとろえることが原因でなるケースもあるようです。
気管虚脱の主な症状として、呼吸困難・咳・よだれを垂らす・チアノーゼ(酸欠状態)などが起きます。
治療法は、投薬による治療・酸素吸入・外科手術などがあります。
特に夏場がよく発症しやすく、突如として呼吸を苦しそうにするケースが見られます。
軽症であれば、投薬治療で回復することが多いです。
酸素吸入は、呼吸困難になった場合に、その場しのぎで用いられます。
また気管の形状異常がいちじるしい場合や、投薬治療では治らないと判断された場合、
外科手術によって治療を行うことが必要とされることもあります。
対策としては、夏場ではできるだけ風とおしの良い場所で過ごさせてあげることです。
もう1つは肥満体質にならないように、食事と適度な運動をさせましょう。
上記の症状が見られるのであれば、一度動物病院に連れて行き、診察を受ける事を検討しましょう。
低血糖症とは、血液中の糖分が少なくなる状態を指します。
主に5歳以上のトイプードルは、この低血糖症になりやすいとされています。
低血糖症の症状は、元気がなくなる・けいれんが起きる・ぐったりとしてしまうなどがあげられます。
原因として、空腹状態・興奮状態・運動後といった、糖分が不足していたり、体内の糖分を消費したりしていることによって起きるのです。
また膵臓(すいぞう)のガンによって起こる場合もあります。
膵臓は糖分を分解する機能をもつため、異常をきたすと低血糖となってしまうのです。
ブドウ糖の摂取または食事をすることです。
もし急を要するのであれば、砂糖水などを口の中に塗り込んであげるとよいでしょう。
膵臓が原因の場合は、手術が必要となりますので、できるだけ早く動物病院に連れていってあげて下さい。
最も有効な予防法は、体内にある糖分を切らさないようにすることです。
また空腹時に運動をさせないことも、糖分を切らさないために大切なことといえるでしょう。
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる病気です。
7歳以上のトイプードルの老犬などに多く見られる病気です。
クッシング症候群の原因は、脳下垂体もしくは副腎にガンができている、副腎皮質ホルモン剤、老齢などです。
主な症状は、食事量・水を飲む量が増える、お腹が膨らむ、排尿量が多くなる、皮膚や毛質が弱くなることでの脱毛、
元気がなくなり寝てばかりといったものがあげられます。
薬物投与や外科手術などがあります。
基本は薬物による治療ですが、ガンがある場合は外科手術や放射線治療を行う必要が出てきます。
クッシング症候群は、大半の原因がガンや遺伝的なものですので、予防は困難なことが現実です。
そのため、上記のような症状が見られた場合は動物病院に相談するべきでしょう。
いずれにしても早期発見が犬の寿命を長くします。
僧帽弁の変形や、僧帽弁の弱化によって血液が逆流してしまうことで、心不全となります。
主な症状として、咳・苦しそうな呼吸をする・嘔吐・呼吸困難などです。
また肺水腫に伴う呼吸困難や、不整脈によって突然死をしてしまう可能性もあります。
僧帽弁閉鎖不全症は遺伝的なものであるため、予防は難しいといわざるをえません。
治療法は薬物治療、食事制限や運動制限などです。最近の動物医療は進歩してきています。
そのため早期発見・早期治療が改善のカギといえるでしょう。
てんかんの原因ははっきりとしていません。
遺伝的なことや、激しい恐怖や怒りがトラウマとなり起きる場合もあります。
突然、手足を硬直させて倒れてしまう病気です。
数十秒~数分ほどひっくり返り、よだれをたらしたり、けいれんをしたり、泡をふく場合もあります。
発作が治まると、何ごともなかったかのように元に戻ります。
「あきらかにてんかん」と判断できる場合のみ、抗てんかん薬によって治療を受けます。
発作が長い場合、他の病気の可能性がありますから、必ず獣医に相談してください。
てんかんは予防できるものではありません。
そのため対処療法となります。対処療法としては、てんかんの発作が起きている最中は、あまり触らないことです。
予想外の動きをしますから噛まれたり、引っかかれたりします。
また抱っこをすると落としてしまう可能性があるので決してしてはいけません。
発作がおちつくまで、体をさする程度にとどめましょう。
また発作の時間を測ることも重要です。
先述したとおり、発作があまりにも長い場合は他の病気の可能性があります。
数十分単位で発作が続く場合は、ただちに病院に連れていきましょう。
どの病気についても言えることですが、早期発見が改善につながります。
少なくとも飼い主は、自分が飼っている犬の小さな変化の発見も見逃してはいけません。
病気の発見が遅れると、その間にも病気は進行していますから、今一度、知識と対処法を理解すべきなのです。